店主ブログ
~伝統と革新~ 福島武山「赤絵鳳凰文花瓶」
2020年1月29日(水曜日)髪の毛ほどの細線、極小の網点で描かれた文様。九谷焼の伝統的技法である赤絵細描(さいびょう)を超絶技巧の域にまで高めた九谷焼作家・福島武山 作「赤絵鳳凰文花瓶」
日本の代表的な焼物である九谷焼。その九谷焼の技法のひとつに赤絵細描(飯田屋風)の技法があります。この技法は江戸時代終わりに流行した南画(中国画)を焼物に絵付けするために生まれた技法です。なかには色絵と金彩を施したものもあり、気品に満ちた作品が多く作られてきました。赤絵細描は一時期には九谷焼の代名詞となるほどの人気を博しましたが、時代の流れもあり、現在ではこの技法を受け継ぐ職人はほんのひと握りしかいません。
福島武山の赤絵細描の最大の特徴のひとつはその立体感にあります。赤一色だけを用いて描くときに、その抑揚をつけるためには、金彩や色絵を使用します。しかし、武山は赤一色で微細な濃淡をつけることで、磁器の平面に、立体的な図柄を描くことに成功しました。赤絵の具、そして筆にも独特のこだわりをもち、その技法は多方面から注目されています。
有名ブランドの仏・エルメス社から時計の文字盤絵付の依頼を受けたときは、古式競馬の駒くらべ(エルメスの発祥は馬具工房であることに発想して)の赤絵細描を施した世界限定12本の見事な文字盤を制作しました。また、福島武山の弟子たちによって行われている“九谷ネイル”は女性に大人気。ネイルに細描された見事な赤絵は、約15分で描かれるというから驚きです。日本の伝統的技法が現代に進化を遂げ、その技法が多方面に活かされる。アートを通じて、日本人の適応能力の高さ、想像力の広さを見る気がします。ぜひ、一度ご覧ください。アートで人生に彩を。
※店主執筆の連載記事・情報誌R バックナンバー(2019年11月号)より
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