店主ブログ

vol.15『富岡鉄斎と近代の日本画 in大和文華館』

富岡鉄斎。大和文華館。藤美堂。近代絵画。
2021年6月5日(土曜日)

鉄斎ワールド・その1「カワイイ」

『富岡鉄斎と近代の日本画 in大和文華館』に行って参りました☆彡。

 富岡鉄斎。大和文華館。藤美堂。近代絵画。

富岡鉄斎(とみおかてっさい)

この名前を聞いて、ご存知の方はどれくらいいるんでしょうか。これを読んで頂いている中にも若い方が増えてきているようなので、必ずしも、この名前を聞いて「ピン」とこない方もいらっしゃるかもしれません。

一般的に、富岡鉄斎は“文人画”の巨匠と呼ばれていまして・・・・。

では、文人とはなんぞや?!と言うところですが、文人とは古くは中国由来の言葉で、簡単に言うと、教養のある書家・画家のことを指します。“絵を描くことを職業としていない人”なので、枠にとらわれない自由な発想で絵を描くというのが大きな特徴だと思います。そういう意味では、鉄斎は、まさに文人画の巨匠だと言えるでしょう。

そんな鉄斎好きな私が、鉄斎の作品を見るたびに、しみじみと思うことがあるんです。

「絵って、やっぱり、いいよなぁ」と。

※富岡鉄斎筆 伊勢海老図(大和文華館)
※富岡鉄斎筆 福内鬼外図(出光美術館)

※大和文華館さまと出光美術館さまのとっても素敵なコレクションです。

「なんだか、愛らしい(カワイイ)なぁ」

これを読んで頂いている方の中でも共感してくれる人がいると思います。そこに年齢や性別はおそらく関係ないだろうと、これは感性だと思います。

見る人を笑顔にさせることができる絵。人物、動物から風景までたくさんありますよ!

絵だからこそ表現できるユニークな世界観を存分に感じさせてくれる、それが鉄斎ワールド。

「くすっ」とさせてくれること間違いなしです。

鉄斎ワールド・その2「幻想的」

鉄斎は生涯通じて「私は画家ではない」と言っていました。絵をかくだけでなく、たくさんの書物を読み、書き、様々な場所を旅し、たくさんの人と交流するなどして、文人の中でも誰よりも人間の幅が広いて深い人物でありました。そんな鉄斎は、人を笑顔にさせる絵だけでなく、“想像力をかきたてる絵”も描きます。

 

一見すると、どこかまだ見ぬ“秘境”を思わせる絵。仙人が住んでそうな秘境を思わせるので、この独特の画風は“仙境”と呼ばれています。鉄斎はこの“仙境”画風の作品もたくさん残しました。大作の屏風絵なども描いており、鉄斎を象徴する画風の一つです。

私は、この幻想的な雰囲気をつくり出せる画家は、そうはいない思っています。

数多の書物を読み、絵を描き、人と会い、時世を学び、時には生死を彷徨うくらいの人生経験があるような人物でないとこの雰囲気は出てこないと思います。おそらく見様見真似で描いたとて、多くの人を魅了することはないでしょう。私の知るかぎり、この幻想的な魅力を感じられる作家はほとんどいませんが、一人挙げるなら、それは東山魁夷だと思います。魁夷も鉄斎と同様、それはそれは他人では決して真似できない経験をしています(vol.13東山魁夷展の記事参照)。

“人を笑顔にする絵”から“人を魅了する絵”まで。

文人画というと「掛軸仕立てで古臭い」なんてイメージを持たれがちなんですが、富岡鉄斎の作品を見れば、ほとんどの人が、きっと「くすっ」としたり、「うっとり」したりできると思いますよ。ぜひ、その名前を知らない、見たことがない方々にも、知って頂きたいなぁと思います。

今回も貴重な展覧会、本当にありがとうございました。

大和文華館様に感謝感謝です。

人を惹きつけるアートとは。

富岡鉄斎は生涯で500以上もの“印鑑”をつくりました。

自分が描いた絵に押す印鑑。普通は10~20もあれば多いほどなので、異例のとんでもない数です。中にも文字だけでなく、絵を彫ってあるものもあるんですね。こんなことからも“遊び心”に溢れているなぁと感じます。

この世の中、いつでも誰でも写真をとれる。映像もとれる。なんなら、3Dプリンターでどんなものでもコピーできる。これら全ては、“複製”というもので、そこに“遊び心”は一切ありません。人間が絵を描き始めた大昔の障壁画を見ていると、最初は記録目的だったようですが、そのうち“遊び心”に溢れてくるのが分かります。これが創作であり、つまりはアートのはじまり。

最近は現代アートの需要が旺盛になっています。そんな現代アート作品もできるだけたくさんふれるようにしていると、中には「はっ」とさせられる人もたまにいるんですよね。

そういう場合は、私はその人のプロフィールを詳しく調べます。バックグラウンド(人物背景)が知りたいからです。

そうすると、やはりと申しますか、「普通ではないです」。

某作家しかり、北斎しかり、魁夷しかり、鉄斎しかり、、、、。結局、たくさんの人を魅了できるアートは、それを創った“人”の魅力だなぁと思います。

まだまだ知らない作品や作家にふれて、そんなことを感じることができたらと思い、日々美術館巡りをしています。

引き続き美術館・博物館を楽しんでいきましょう!

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