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vol.8『豊臣(トヨトミ)の美術  in大阪市立美術館』

豊臣の美術。大阪市立美術館。藤美堂。
2021年4月17日(土曜日)

中世以降の日本文化の“原点”が、ここに。

『豊臣(とよとみ)の美術 in大阪市立美術館』に行って参りました☆彡。

豊臣の美術。大阪市立美術館。藤美堂。

 

豊臣秀吉は“日本史上、最も絢爛豪華で国際的な文化“=“安土桃山文化”を創造した人物です。

今回の展覧会を拝見して、「文化は人が作り上げるものなんだなぁ」とつくづく感じました。特に茶道具は象徴的でした。国一国(くにいっこく)と茶道具を交換する価値があるという文化を作り上げたのは間違いなく織田信長であり、豊臣秀吉。土地を与えることが武士の恩賞という旧来の概念だけでなく、土地に代わる恩賞としての茶道具を創造しました。太平の世を見据えていたからこそできたこと、これぞまさに文化の創造。

また、権威を高めた茶道を、今度は、町人まで裾野を広げた国民行事へと浸透させました。北野大茶会と呼ばれる茶道イベントには大名から一般人まで誰でも心置きなく参加できる。国のトップが方向性を示し、スピード感をもって、それを国民に浸透させていく。もちろん時代性があるものの、今の政治家は見習うところがあるのではないでしょうか。

たった30年ほどの間でしかなかった安土桃山時代、信長・秀吉の文化。

日本史上でも時の権力者が率先して文化を創造したというのは信長・秀吉をおいて他にはほぼありません。茶道具をはじめ、この時代にとり上げられた美術工芸品(陣羽織、洋菓子、蒔絵技術、漆器など)を、この展覧会ではたくさん拝見することができましたが、どれもその後の日本文化に大きな影響を与えているものばかりでした。

豊臣の美術は、煌びやかな(きらびやかな)側面があり、また、わびさび的側面もある非常に奥深い美術だと思います。中世以降の日本文化の原点をたくさん見ることができますので、皆さまも是非にご覧になってください。

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※茶入の参考写真(展示品ではありません)※信長・秀吉の時代、茶道具を代表する道具=茶入の中には、国一国の価値があるとされた名品もあります。

天下人の“意外な一面”。

今回、私は「やっぱり、秀吉は信長に憧れていたんだなぁ」と感じました。いくつかあったんですが、例えば、陣羽織(じんばおり)。陣羽織とは、戦国武将が陣中(戦いの陣営)で羽織った勝負衣装です。陣羽織の発祥は、信長が愛用した“マント”でして、南蛮から伝来した“マント”を信長がいたく気に入って陣中で愛用したことから、以後の武将が陣羽織という形で陣中で着用したという話があります。

▶展示品「蜻蛉燕文様陣羽織(とんぼつばめもんようじんばおり)」。大河ドラマの真田丸で秀吉役の小日向さんが羽織っていたことで、一時、有名になった衣装です。たくさんの青い羽根は、小柄な秀吉が体を大きく見せる工夫だったとも言われています。当時としてはかなり高身長の上様(信長)の颯爽とした姿に感化されたのか、小柄な秀吉が少しでも自らを大きく見せようとした工夫のようにも思えます。そして、そんなところに可愛さすら感じてしまいますね。

ちなみに、今回の展示にはなかったんですが、信長が羽織っていた深紅のマントそっくりな秀吉愛用の陣羽織もあるんです。

▶参考品「ビロードマント陣羽織」(名古屋市秀吉清正記念館蔵)。“”憧れの先輩に少しでも近づきたい後輩が服を真似する“”みたいな感じでしょうか。秀吉が袖を通していたかと思うだけでも興奮するのですが、信長と秀吉の人間関係も垣間見えるので嬉しくなります。

そして、今回、“信長への憧れ”以外に、秀吉について感じたことはもう一つありました。“金の茶室”のイメージで、表向きはド派手好きで、賑やか好きな秀吉ですが、「日頃は実直で、大人しかったんだろうなぁ」と言うこと。

▶展示品「太閤左文字」。秀吉の愛刀。短刀なので50㎝もないです。なんとも大人しく澄んだ刀です。刀剣というのは、持主と刀剣の相性があるとされていますので、人間性の写し鏡とも言われています。派手できらびやかな秀吉のイメージとは違う、おとなしく澄んだ(すんだ)一面を感じることができます。

▶展示品「秋草蒔絵文台」。秀吉愛用。文台とは今でいう机。秀吉は農民の出身なので、文字はあまり達筆ではありませんでしたが、とても“筆まめ”でした。たくさんの手紙を書いたとされています。正妻のおねに送った手紙だけでも相当な数だったようです。その数々の手紙を書くために愛用していた文台。どちらかというと決して派手ではなく、蒔絵が繊細に描かれている小さな文台です。そんな文台を目の当たりにして、内に秘めた“繊細で大人しい”秀吉の性格を見ることができたので嬉しくなりました。

生活で愛用していた品々に、その偉人の意外な一面を見ることができる。これだから美術品、骨董品はロマンがあるんですよね。本当に、素敵です。

※陣羽織の参考写真(展示品ではありません)※鎧の上から着飾るもので、今でいうベストみたいなもの。“兜(かぶと)”と同様、戦国武将の個性が垣間見えるものであり興味深い。

“まだまだ世に埋もれている”とされる戦国武将の貴重な手紙。

日本美術の中でも戦国武将の品々はとても人気です。欧米にもコレクターがいるSAMURAI・GOODS(サムライグッズ)。 

ただ、残念ながら、今回の展覧会に展示されているような織田信長や豊臣秀吉の逸品は、市場に流通するようなことはありません。ご紹介した美術品はどれも唯一無二のものであり、鑑定価格などもつけられるようなものではありません。愛用品なんて、有名美術商であっても、手にすることすらできないような偉大な御品。

では、「秀吉や信長関連の品々は一切手に入れることができないのか?」と言いますと、決してそうではありません。

比較的、手に入れられる可能性のあるものは“手紙”でしょう。自らがしたためたものもあれば、右筆と言って、代理人が書いたものなどさまざまではありますが、サインと印などがあれば非常に価値は高い。信長・秀吉の書と言っても、領地安堵を約束した手紙・文書もあれば、同盟相手へのお伺いの文書など様々ですが、合戦に関する直筆の文書などが出てきたら物凄い値打ちがあります。信長の天下布武の印がある文書などは、こちらも本当にテンションが上がってしまいます。。。

少し前に、武将ではないですが、偉人の文書では最も人気のある坂本龍馬の文書が、北海道の個人宅で発見されました。龍馬が襲撃されたあの有名な寺田屋事件に関する文書で、新発見文書となりました。高知県の龍馬記念館に有償で譲渡を申請されたようですが、こんなものオークションにでもかけようものなら、それはそれは凄まじい値段になると思います。

おそらく、まだまだ発見されていない文書は世の中にあることと思います。特に、戦国武将は、実はみな筆まめで、また世に出ていないたくさんの文書があるとされています。

もし少しでも心当たりがあれば専門機関に鑑定依頼する価値はあるかもしれませんよ。

世の中にはまだまだロマンが溢れてます!!

※秀吉手紙の参考写真(展示品ではありません)※決して達筆ではないものの、その内容は相手の性格をよく考えて書かれているものが多く、秀吉の心づかいが見てとれる。

※取り上げた展示品や参考品は“”著作権に配慮して“”写真掲載・転載は一切しておりません。ご興味ありましたら、記載名称は公称ですので、各自で検索してみてください。

 

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