店主ブログ

~連載【本物の美術】~ 世界を魅了した白、「藤田嗣治」。

2020年6月8日(月曜日)

魅惑のホワイト

世界に認められた、中でも芸術の都フランス・パリに認められた男、藤田嗣治(レオナール・フジタ)。女性や猫を描いた絵はとても有名で、その油絵は時価数千万円。日本が世界に誇る数少ない洋画家の巨匠です。※メイン写真は当店品「猫」(版画)

藤田はその色使いに特徴があり、中でも「白」(ホワイト)には、藤田にしかない唯一無二の魅力がありました。藤田はフランスを拠点とし、婦人画をよく描いたのですが、その白人女性の肌色は独特で、パリジェンヌたちの心をつかみました。

 

 

 

 

 

※「カフェにて」藤田嗣治作(フランス国立近代美術館所蔵)

「フジタ・マジック」

そう言わしめた、その独特の乳白色。当時、藤田を真似て多くの画家がその絵に挑戦しましたが、まったく近づくことはできませんでした。多くの謎を残したまま、藤田の死後、意外な事実が分かります。

『ベビーパウダー』

成分分析を行い、分かった新事実。それは、なんと、

「ベビーパウダー」

そう、赤ちゃんを想像するあのやさしい香と肌触りの白い粉。また、生前に撮られた写真に写っていたものも証拠となりました。懐かしの和光堂のシッカロール(ベビーパウダー)です。

 

 

 

 

 

※和光堂製:シッカロール

白、探究したオリジナリティ。

藤田青年は、日本画壇の理不尽な規制に愛想をつかし、自由な絵画を求めてヨーロッパに飛び立ちました。そこでは、今でも有名な画家たちが自由で夢見る絵を生き生きと描いておりました。ピカソのアトリエに遊びに行ったとき、その自由な発想に驚愕し、自分ならではの絵を描こうと決心したと言います。

そこからが苦悩の連続。キュービズムを真似たり、古典西洋画を取り入れたり、迷走の日々。

苦悩の末、自らが生み出したもの、それがこの「白」(ホワイト)だったのです。

ベビーパウダーを白い画材と混ぜることで、半光沢の滑らかな質感や上品な乳白色となる。また、この下地の滑らかさには、キャンバスの布の目の細かさも影響してくるため、藤田はほとんどの作品において、キャンバスを自ら手作りしたそうです。

半信半疑だけど、自分が辿り着いた、もの。自分ならではのもの。どこか、感じるものがある。

それを世に出した時、浴びせられる賛辞。それはそれは幸せだったでしょうね。

本物の仕事に、感謝!

contact

contactお気軽に、ご相談ください

  • お電話でのお問い合わせtel

    0721-25-1033

    電話受付時間 / 10:00-17:00(日・祝日除く)

  • メールでのお問い合わせmail

※鑑定・買取ご希望の方は、事前にお電話もしくはお問い合わせフォームよりお知らせ下さい。

https://to-bido.com/contactお問い合わせフォーム

0721-25-1033

〒584-0025
大阪府富田林市若松町西1丁目1886-3