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vol.11『聖徳太子と法隆寺 in奈良国立博物館』

聖徳太子と法隆寺。奈良国立博物館。藤美堂。
2021年5月9日(日曜日)

『聖徳太子と法隆寺 in奈良国立博物館』に行って参りました☆彡。

聖徳太子と法隆寺。奈良国立博物館。藤美堂。

聖徳太子が政治を行い法隆寺を建てた。その時代は“飛鳥時代”。

日本史を思い出すとき、2000年の歴史の中で、どんな時代を思い浮かべるでしょうか?江戸時代、平安時代、鎌倉時代、明治時代、、、、、、、、、。そこらへんがメジャーなところだと思います。おそらく、なかなか思い出してもらえない“飛鳥時代”。実は、この時代、そしてその文化、とても魅力的なんですよ!

日本初の“インターナショナルな”文化。

実は、わたくし、この展覧会を前から本当に楽しみにしておりました。待ち遠しい展覧会の一つだったんです。それは「とても魅力的な文化を目の当たりにできるから」という理由にほかなりません。そういうわけで、約3時間じっくりと堪能させて頂きました。そして、心より感じたことは「飛鳥はとってもインターナショナルだ!」ということでした。

展覧会の中で、私の一番の目当ては“仏像”でした。飛鳥時代の仏像は通称“飛鳥仏”と言いまして、日本で初めての仏像と言えます。法隆寺の仏像たちは、まさに“飛鳥仏”の象徴。そのお姿はとても特徴的であります。最も魅力的なのはその口元。釈迦三尊像にしても救世観音像にしても、アルカイックスマイルに微笑んだ表情がとても素敵です。

【リンク参照】アルカイックスマイル(仏像)

あとは、仏像装飾も異国情緒に溢れておしまして、中国、朝鮮、ギリシア、ペルシア(今のイラン)と世界各国の要素がふんだんにミックスされております。

飛鳥時代は聖徳太子が仏教によって国を治めようとしました。そのため、思想、法制度、建物、ファッションに至るまで“仏教にゆかりのある異国文化”が一気に取り込まれたわけです。法隆寺の建築技術は大陸やギリシア伝来のものであり、釈迦三尊像をはじめとした仏像制作技術もまた然り。

“飛鳥の仏教文化” と“明治の文明開化”は、日本文化史の中でも最も国際色の強い2大文化であると思います。

そんなインターナショナルなASUKA時代は100年程で終わってしまいます。大化の改新によって終わりをつげるのですが、それ以降は天皇中心の国家体制へと変わりゆく中で、仏像も一気に日本風に変形し、平安時代(国風文化)以降はASUKAの雰囲気を感じることは難しくなります。武士が台頭し、本格的に争いの時代へと入っていくので、アルカイックスマイルもなくなり真一文字に結んだ無表情な仏像か、険しい表情の仏像の姿へと変わっていってしまうんですよね。

なので、今回の展覧会は、“飛鳥仏”=異国情緒ある“日本最初の仏像”を間近でたくさん見ることができる本当に貴重な展覧会だと思います。

美術館・博物館の展覧会は日本全国で数多開催されてはおりますが、約1300年前~1400年前の美術を十二分に堪能できる機会は、なかなかないもんです。

今回の展覧会も約3時間強じっくりと拝見させて頂きましたが、お休みの日の使い方として、時を忘れて思いにふけることができる、私の至福の時間です。

“法隆寺宝物”、1400年も守られてきた理由。

飛鳥文化の中心であった“法隆寺”。1400年もの間、仏像ほか様々な宝物を健全な状態で今日に伝えてくれました。1400年もの間、、、、、、、ですよ。冷静に考えるととんでもないことですよね。今回の展覧会で、様々な宝物を拝見しましたが、ほとんど全てに大きな損傷がないんです。これは本当に驚異的と言わざるを得ません。

そこで、私なりに無い知恵でその理由を考えてみると、3つがなんとか思い浮かびました。

まず一つ目。法隆寺という建物の強さのおかげだと思います。法隆寺は世界最古の木造建築物であり、世界最高の“耐震構造物”でもあります。1400年もの間、マグニチュード7以上の地震を46回も無事で乗り切っているそうです。構造の中心となる心柱の建築工法は、東京スカイツリーに応用され、また、世界のタワー建築物に影響を与えるほど。建物内の宝物がとても健全なのは、それだけ強い建物に守られた成果であると思います。

次に二つ目。仏教という大いなる力のおかげだと思います。廃仏毀釈という明治の最大の危機はありましたが、それでも1400年もの間、仏教の教えは日本人に根付き、それを信奉してきたということでしょう。僧侶が武装して乱れたことで戦国大名に焼き討ちにあった時代も、法隆寺は粛々と仏教の聖地としてその聖なる立場を崩しはしませんでした。世界で争いが起きようと、それぞれの宗教の聖地は聖なる場所であり、そこは破壊の対象を免れる。大宗教の日本の聖地である法隆寺にも同じことが言えると思いました。

最後の三つ目。それは、魂を奪われてしまいそうなくらい魅了される宝物の力“そのもの”ではないかと。今回の展覧会で、私が感じたことを少し例に挙げてみます。

『夢違観音像(ゆめちがいかんのんぞう)』。悪い夢でも良い夢に変えてくれる観音様。悪人でも思わず拝んでしまって、悪い行いを悔いるだけでなく、良い行いをせねばという感覚になるとの逸話も。ずっと後の鎌倉時代になって悪人正機説という「悪人でも救われる」という仏教の教えが一気に広がって支持されました。魔が差す悪人すら取り込んでしまうであろう、この『夢違観音像』の前では誰もが無力になってしまうのかもしれません。私なんかは実際にその前に立ってじっと眺めていると、頭の中で「うまくいっていないことを、うまくいって欲しいです!」と自然と考えていたんですよね。お釈迦様の掌(てのひら)で走り回る孫悟空のようなもんですね。

『聖徳太子絵伝』。聖徳太子の生涯を描いた作品でありますが、日本絵画の原点と言われている平安時代の源氏絵も真っ青なくらいの緻密さと優雅さであります。描かれたストーリーに思わず見入ってしまい、すっかり夢中になってしまう。私だけでなく、それ以上に、この前を何周もしておられる人もいました。作者が不明と言うところも、絵の素晴らしさに純粋に集中できて良いと思います。ほんと、昔の美術品の方が現代の美術・芸術よりも、ある意味優れているというのはときにあることですが、この作品は間違いなくその代表的な作品の一つでしょう。

こんな感覚に陥るものが、他にもたくさんあるんですよね。このコロナ禍の中でも入場者も多く、じっくり、ゆっくり見入っている人が他の展覧会よりも確かに多かったと思います。

こうやって、勝手気ままな想像をさせてくれる美術館めぐりは本当に辞められません。今回は特に、様々な人たちの時代を超えた思いが詰まった展覧会だったので、ワクワクするだけでなく、いつも以上に想像がふくらみました。

今回も貴重な体験、ありがとうございました。本当に感謝、感謝です。またの機会を心より楽しみにしております!。

 

 

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