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すばらしい発想力!『浮世絵・歌川派列伝』 in和泉市久保惣記念美術館
2020年7月2日(木曜日)浮世絵は世界に誇るジャパニーズアート
6月から各所の美術館が再開しています。わたくしも国立から私設まで様々な美術館・博物館を探訪しておりますが、最近はジャパニーズアート(日本美術)に脚光を当ててている展覧会が多くなってきてますね。
最近では、刀剣、甲冑(鎧兜)、浮世絵が非常に人気の高いジャパニーズアートでしょう。訪れた展覧会でも外国人の方々、男女問わず非常に盛況となっています。特に浮世絵は、海外の有名な画家、ゴッホやピカソも北斎を真似た構図などがあり、世界に影響を与えた日本文化です。
浮世絵はつまりは、版画なので、絵師(下絵を描く人)をはじめとした制作者と版元(出版社)の協働作品であります。かの有名な歌川広重の東海道五十三次は何度も刷り増し、刷り直しされておりますが、やはり初期の版元・保永堂のものは非常に評価が高く、最低でも数十万円から数千万円以上のものであります。世界的にファンも多いので、世界の2大オークション・サザビーズやクリスティーズでも度々高額落札される、世界的なジャパニーズアートと言えるでしょう。
稀代の浮世絵師・歌川国芳
南大阪で最も有名な美術館のひとつ・久保惣美術館の特別展覧会「歌川派列伝」に行ってまいりました。展示数はかなりの数で、歌川派では最も有名な絵師、そう、歌川広重さまの東海道五十三次や江戸名所百景など、それはそれは、そうそうたる作品群でありました。
ただ、わたしの最大の目的は、歌川国芳。浮世絵をご存知な方であれば有名ですが、知らない人には少し耳慣れないかもしれないですね。
こんな作品を世に送り出した人です。
タイトルは「年が寄っても若い人だ」です。よーく見てみてください、顔のパーツが❝十二支❞でできているんです。一匹だけ潜んでいない干支がいるとかいないとかで論争になったこともあるんですが、それ、何かお気づきでしょうか?
「あの人いつも若い人だなぁ」なんて会話が江戸時代にもあったんでしょうが、そんな人の特徴や生き方を干支の文字にかけて文章と絵にしているわけですね。なんともお洒落。
また、こんな作品もつくっています。
「相馬の古内裏」という作品です。見たことないですか?このドクロ。いつか、妖怪ウォッチにもガシャドクロという名前で出てました。巻物を持っている女性が恨みをはらすためにドクロをたくさん呼び出すのですが、その数を表現するのに、❝大きさ❞で表現したんですね。怨念の深さ、伝わります。なんとも斬新。
発想は、時を超えたメッセージに
国芳は、こんな作品も残しました。
ときは、江戸後期。今から200年以上も前ですね。幕府の水野忠邦という重役が、禁止・緊縮政策を徹底して推し進めました。それは、民の文化の制限にまで至り、なんと浮世絵は禁止されてしまいました。
そこで張り出された一枚の絵に、民は大喜びします。それがこの絵「荷宝蔵の落書き」
国芳は幕府から呼び出しを受けます。国芳は言いました「これは浮世絵ではない、壁の落書きだ」と。ところどころ、今の世を憂う、皮肉めいた表現があり、わざと崩し、滑稽につくられた表現も作為的。
これで国芳は罰せられるのですが、一躍、民のヒーローとなり、江戸の世を賑わしたそうです。
これ、現代でも少し、何か似たような人いません?????
世の中が混迷すると、時代、時代に、その時代の代弁者があらわれるのかもしれないですね。光る発想に込められたメッセージは時代を超えて語り継がれていくと思います。
とても楽しいひとときでした。
みなさまもぜひ、足を運んでみられては。
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