店主ブログ

北斎もゴッホも驚いた!やまと絵のコレがすごい! 

2024年3月16日(土曜日)

今回の“コレスゴ”は、やまと絵です!

日本の美術がどれだけ世界に影響を与えたのか!が分かるお話をします。

やまと絵って???知らない人も多いかもしれませんが、“日本の歴史上、最初の絵画”と言えるでしょう。掛軸や巻物に描かれていたやまと絵。このやまと絵の描かれ方には、ものすごく特徴がありまして、、、コレ!が世界に大きな影響を与えました。私の好きな絵もご紹介しながら、日本が誇るべき絵画、やまと絵についてお話してみたいと思います。

1やまと絵のコレがスゴイ!

2コレの背景はアレだと思う!

3葛飾北斎もビックリ!

4ゴッホもびっくり!

1やまと絵のコレがスゴイ!

いろんな絵と比較すると、やまと絵には多少の違和感を感じるはずです。

浮世絵 バークコレクション
※出典wikipedia バークコレクション蔵※

やまと絵はとっても感性的なんです。絵師の感性に溢れている。

遠い方の車輪も、近い方の車輪も同じ大きさ。牛もそう。なんなら牛は遠い方が大きいかも、です。

これは、まさに、その絵師が見た世界≒感性で描かれているわけです。

遠いものは小さく見え、近いものは大きく見えるという遠近法は、景色を見る時に、現代人の脳を支配しがちです。これは、中世ヨーロッパルネサンスからはじまる西洋絵画の影響が世界的に大きい。ただ、これは、所詮は、絵画の一つの見方にすぎません。

アートは個性を見るものであり、その絵師が、作者が、どういう思いで描いていたのか?と想像するのが大事です。

やまと絵は“吹き抜け屋台”と呼ばれる技法で描かれているんですが、日本で生み出された技法です。あたかも鳥が空から俯瞰して眺めているような描き方。ダイナミックな空間を演出することができます。

そんなダイナミック空間に絵師の感性が融合したやまと絵は、想像力溢れる魅力的なアートだと思います。同じような構図も、ほんとに、絵師によって、大小からサイズ感、色合いまで、全然違いますからね。

ちなみ、空間の描き方は、平行四辺形や菱形を意識しています。例えば、壁と壁が平行でしょう。また、行列の流れは菱形の一部です。このように、さりげなく、幾何学的に設計されているので、俯瞰で、すっきり見えつつ、とても立体的になります。

やまと絵をよく勉強していたという葛飾北斎の幾何学的な発想は、間違いなく、ここからきてます。

さて、では、直感、感性、空間認識、、、これらやまと絵の発送は、そもそも、どうやって生まれたのか?

私は、日本人の古来の精神性に由来する発送だと思っています。

2コレの背景はアレだと思う!

それは、「やおよろずの神」という発想です。

やおよろず=八百万神と書きますが、つまりは、自然の全てに神々が宿るとされる日本古来の神道の考えです。

その考えは稲作を通じて生まれました。

弥生時代の稲作からはじまりました。豊作を願う時、神羅万象、全ての自然に祈りを捧げないと成就はできません。それが、自然を敬い、神が宿ると考え、畏怖の念すら感じる発想、やおよろずの発想です。豊穣を願って、そして感謝する。有史2000年の日本人の精神性の根本といえるでしょう。

未だに、その名残は、地方の祭りとして続いています。藤美堂がある南大阪でもだんじり祭りがありますが、それも、豊作に感謝する感謝祭。日本各地で秋に催される感謝祭は日本全国で行われています。民俗学の視点では、やおよろず思想は身の回り(自然)に神が宿るという考えなので、日本人は、ほかの民族よりも、身の回りに敏感だとされています。民族学者さんにも、日本人の謙虚さの根本はやおよろず思想にあると提唱されている方もいらっしゃいます。

大自然 やおよろず やまと絵

やまと絵が生まれたとされるのは平安時代ですが、弥生時代からでいうと約1000年経っています。その約1000年は、雨ごいをしたり、祈願をしたり、今みたいに、どこでもいつでも米が食べられるわけがない。生活の全てとして、米をつくり、守り、またつくり、口にできることがいかに重要か。今のわたしたちには到底想像できないかもしれません。

そういう意味では、今の日本人よりも、昔の日本人の方が、自然に対する感性や空間を把握する能力は確実に優れていたといえるでしょう。江戸時代くらいまでの日本の絵画を見ている私には、今の人々の発想にはない観察力や洞察力がよく分かります。

ちなみに、今の日本人にも多少は、DNAが受け継がれているという話をしましょう。

日本のスクランブル交差点は海外の人からすると驚きでならないみたいです。「どうして人と人がぶつからないのか?ちゃんと行き来できているのか?」多少擦れ合うことがあっても、日本人は器用にそれぞれが適度な距離間で自然と行き来している。こんな場所は世界にはないとのことです。

これも日本人のDNAに刻み込まれた、ある種の、空間把握能力なんでしょうね。

3葛飾北斎もビックリ!

この絵は北斎の絵の中で私が最も好きな浮世絵の一つ、甲州石班澤(こうしゅうかじかざわ)です。

※甲州石班澤(こうしゅうかじかざわ) メトロポリタンミュージアム蔵

何が好きかって、いっぱいあるんですが、一人で頑張って戦っている感じがまず、なんともいえない。他の北斎の絵と一味違う。表情が見えないだけに、想像させるところも好きで、必死かもしれんし、遊んでいるかもしれない。男も富士先も波先も、本来はありえない、みんな同じ大きさ。これが、また、男の存在を際立たせてます。これ、西洋の遠近法なら、こんなに男が悪戦苦闘しているっぽい印象にはならないし、富士も、波も、崖も全部目立たない。見るたびに、その時の自分の心境で見え方が変わる、何度見ても飽きない。

葛飾北斎は90歳を超えて死ぬまで絵を描き続け、晩年になればなるほど、上達していきました。

北斎はやまと絵をよく勉強していたそうです。吹抜屋台やすやり霧などのやまと絵の技法を大いに活用しています。北斎の凄いところは、そこに遠近法をかけあわせて独自の世界観をつくっちゃっているところがスゴイところなのですが、北斎絵の特徴の一つは、鳥が俯瞰しているような俯瞰構図で、北斎の直感のままに大小描いてるところです。本当に素敵です。

葛飾北斎の浮世絵を見ていると、浮世絵一枚一枚に、描かれている小さなものから大きなものまで繊細に工夫がされています。神は細部に宿るとはまさにこのことかなと思います。

日本人のやおよろずの心は、葛飾北斎が生きていたこの江戸時代の頃までがピークだったのは間違いないと思います。西洋化して約100年以上経つ日本では、今の日本人の感性では、江戸時代の掛軸や絵画のような繊細な世界は、なかなか描けないものが多いかなと思います。

4ゴッホもびっくり!

この絵はゴッホの絵の中で私が最も好きな絵の一つ、「英泉」です。

※「英泉」フィンセント・ファン・ゴッホ ファン・ゴッホ美術館蔵

ゴッホは生涯の作品の中で、大きな、ターニングポイントになった絵だと思います。この作品の前後で明らかに作風が変化しているんです。ゴッホは日本の浮世絵にめちゃくちゃ影響を受けまして、北斎や広重の浮世絵をたくさんコレクションしていました。その大胆な構図と色遣いに大いに影響を受けたということです。セザンヌも間違いなくその一人です。

西洋絵画の歴史において、印象派の登場で、絵は革命的に“明るく”なりました。それは、光を意識した明るい絵ということです。なので、全体的に白っぽく、明るい。それをポスト印象派は、個性的な色をのせて、明るくしていきます。その代表的な画家がゴッホ。原色使い、黄色、赤、青などを、印象派に相乗させていきました。セザンヌは、形を開放していきます。遠近法ではなく、セザンヌが見た直感、感性の世界を描きます。だから大小、長短が違います。大胆な構図で描いていきます。

次の時代の、マチスのフォービズムやピカソのキュビズムへとバトンを繋いでいくわけですね。

印象派以降の画家たちが、浮世絵、やまと絵に影響を受けて、更なるイノベーションを起こした。

日本の美術は世界の美術革命を、実は、縁の下で支えていたのです。

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