店主ブログ
美術の余談 NO.4 「美術品の“価値基準”」
2021年1月5日(火曜日)あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。今年は良き年になれば良いですね。
美術品にはいろいろな“価値基準”があります。美術商が鑑定や査定をする際に注目するポイントとでも言いましょうか。いくつかございますが、代表的なものを少しお話します。
まず、“稀少性”。世の中に数がどれだけあるか?数が少なければ少ないほど値打ちが高まります。例えば、江戸時代の小判はいくつかありますが、他の小判に比べて金の含有量こそ低いのですが、元禄時代の元禄小判は非常に数が少なく、小判の中でも評価が最も高いもののひとつです。
続いて、“作者”。絵画や掛軸でも誰が描いたか?というのが問われます。よく誤解される方がいらっしゃるのですが、人気作家は人気作家になるまで一様に血の滲むような努力をされています。なんの努力もなく運だけで人気が出るわけでもなく、他の人にはないものがある、その境地に辿り着いたからこそ人気が出るわけです。
そして、“時代性”。これもまたよく誤解があるのですが、古ければ古いほど価値があるという意味ではないんです。“良い時代”という意味です。例えば、日本の骨董品の代表格である壺(つぼ)。壺の形状と言うことであれば、古くは縄文時代の縄目文様の縄文土器、弥生時代に渡来人が伝えてきた須恵器などがあります。もちろん考古学的には値打ちがあるものですが、いかんせん、人を魅了する美術品としてはそれほど人気のあるものではありません。壺といえば、平安期~室町期が良い時代であります。特に、古信楽、古備前に代表される六古窯が人々を魅了する壺であります。そういう、人々を魅了する意匠や作風、素材などを兼ね備えた“良き時代”というのがあります。
あと、“状態”。つまりはその美術品のコンディションですね。焼物だと破損していたり、ひびが入っていたり、掛軸や絵画だとシミがあったり、などその美術品の状態が悪ければ、いくら有名で人気のある作家さんでも評価はほとんどない場合も多々あります。
そして、“出来(つくり)”ですね。同じ作家さんの花瓶でも、その“出来栄え”というものはさまざまです。絵画ですと、その作家さんの入魂の作品とそれ以外の作品でも評価は全く違います。美術品は嗜好の世界でありますから、人を魅了してなんぼ?!的なところがあるわけで、魂のこもった作品はやはり人々を魅了しがちであります。作品の出来栄えというものも注目ポイントであります。
語ればキリがありませんが、今日お話しさせてもらった美術品の“価値基準は専門家としての鑑定や査定の見識でありまして、美術品としての魅力という意味ではありません。美術品の魅力は、人の好みと一緒で多種多様、十人十色であります。
だから美術の世界は面白いんですよね。自分が魅了される美術品と世の評価は別だったりする時も珍しくはない。
面白きなき世を面白きことにする、それが“美術”であります。
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