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美術の余談 NO.8 「最も“金”が含まれている小判」 ~享保小判(古美術)~

2021年2月17日(水曜日)

小判。ザックザクのような“隠し金”的なイメージや、御代官様的な悪いイメージや、ねずみ小僧のような派手なイメージなどなど、日本人にとってはさまざまなイメージを思い浮かべられると思います。

小判はれっきとした美術品、古美術の分類に入りまして、流通したのは江戸時代。正確には秀吉の時代をはじめとし、最後の小判は江戸時代の最後の幕末期になり、約300年弱ほど流通しました。日本初の本格的な“流通貨幣”です。

さて、今日はその中でも代表的な小判のひとつである、享保小判をとりあげてお話させていただきましょう。

ときは8代将軍吉宗の時代。徳川将軍15代の中でも最も有名で有能な将軍と言われた“暴れん坊将軍”が、低迷した経済を立て直すために鋳造した貨幣『享保小判』。

 小判1両は、現在の価格にすると約10万円ほど。江戸時代を通じて流通したわけですが、主に8種類(慶長小判※1601~、元禄小判、宝永小判、正徳小判、享保小判、元文小判、文政小判、天保小判、安政小判、万延小判※~1867)ありました。その8種類、金の含有率は全く異なっていまして、享保小判は8種類の中でも金の含有率は最も高く(86%※20Kほど)なっています。古美術品の評価としては各種小判の中で、おおよそ中くらいの評価になります。

「ん??!?!?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。金が多く含まれているのに、なぜ中くらいの評価か?

小判の評価としては、金の含有率だけでなく、時代性(イメージの良い時代)、稀少性(現存している数)も評価基準になるということなんですねぇ。ここが骨董的要素ですね。

ちなみに、小判の中でも最も評価の高い小判のひとつは元禄小判。金の含有率は8種類の中でも最も低い(60%未満)ものの、現存数は少なく、元禄年間は江戸時代の最も華やかな時代だったという時代性もありますのでファンが多く、最も評価が高い小判のひとつとなります。一方、幕末期の万延小判などは江戸幕府の権威が無くなっている、また、金の含有率も低い、大量に鋳造したなど、、、古美術品的価値としてはとても低いです(現在の小売り価格で10万~20万程度です)。

「これ小判 せめて一晩 居てくれろ」という川柳があります。かさんだ借金の返済で、すぐ小判が無くなった江戸時代の庶民の現状をあらわしています。

「金は天下のまわりもの、宵越しの銭は持たぬ」。江戸時代の江戸っ子の気風をあらわしたことばです。宵越しの銭など持たずとも良いのさ!銭などいつか又、天下を回って戻ってくるだろう的な意味です。

江戸時代の人々のいろんな思い。その思いをのせて手から手へ渡った小判。

今日はそんな江戸時代におもいをはせた余談でした。。。。

■元禄小判金※出典;wikipedia
■万延小判※出典;wikipedia

◎実際の大きさの違いも写真の違いくらいあります。万延小判は、本当にちっちゃいです。

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