店主ブログ
vol.4『花のある茶道具 in逸翁美術館』
2021年3月17日(水曜日)茶道具の大蒐集家であった創業者
『花のある茶道具 in逸翁美術館』に行って参りました☆彡
逸翁美術館はあの阪急グループの創始者・小林一三さまの美術館であります。茶道具の大蒐集家としても有名で、日本でも屈指の名品の数々が見られます。
小林一三さまは大好きな数寄者さまの一人です。
「下足番を命じられたら、日本一の下足番になれ。そしたら、誰も君を下足番にはしておかぬ」 by小林一三。
「く~ぅっ」と、その気概に惚れ惚れしてしまいます。
そんな翁の収集された茶道具。梅桜菊椿など四季の花々が描かれた掛軸、茶碗、棗など、全114点、それはそれは見事でありました。全ての品には“花”があしらわれおり、文字通りの華々しい茶道具を堪能させて頂きました。
ただ少し残念だったことが、撮影一切NGだったことですかね。大英博物館、NYメトロポリタンはじめ世界的な潮流としては撮影OKスポットが増えてきています。閉館後に開放して写真撮影を自由にできる美術館なんかも出てきています。
昨年くらいから日本の美術館でも、「これは、撮影OKよ!」っていう品が1つや2つ展示されるところが増えてきました。毎週美術館をめぐっているのでリアルに感じています。
今後の展覧会では、1点か2点でも撮影OK品があること願っております。。。
四季を感じて生きる知る
茶道の大成者・千利休が“茶の心構え”について遺した7つの言葉(=利休七則)があります。その中の2つ。
「花は野にあるように生け」
「夏は涼しく冬暖かに」
利休さんがいた時代、“茶のいっぷく”をすることで“生きていることを実感”することできたんじゃないかなと思います。戦国時代の戦火の中、明日の命がどうなるか保証はない。そんな中、季節を味わいながら茶をたしなむひと時。「四季を感じることは生きていること」と言った御仁がいらっしゃいますが、まさにその境地だと思います。茶の湯を通じて、四季による時の流れを感じるということですね。
私はと申しますと、茶をたしなんでおりますと、そこに“今”を感じています。忙しい日常だと時間の流れを感じているようで実は感じていないことが多いんですが、茶の湯にのぞむと、心身ともに立ち止まって五感が整う気がします。季節を感じることはもちろん、季節の中でも初夏もあれば中秋もあり、その時々に映える茶道具があります。
花のある茶道具は、どれもその時だからこそ映えるもので、どこかはかないけれど、とても美しいものだと思います。
“目を見張った”展示品
美術館の展覧会を訪れると、美術商の感覚がうずくため、「これは〇円くらいはするやろうなぁ」と野暮なことをどうしても考えてしまいます。
今回の展覧会に限らず、有名な美術館の展示品の中には、とてつもない値打ちがあるものがさりげなく並んでいます。
どれも素晴らしい展示品と言うことは申し上げておきますが、その中でも私が特に目を見張った品を2点ほどあげてみたいと思います。(個人的見解です。悪しからず。)
▶「青磁貼花牡丹不遊環瓶(元時代)」中国美術を代表する焼物である青磁は、宋、元の時代のものは世界的に人気があります。その最大の魅力である色味は現代では再現できないと言われています。世界的なオークションでは、その時代の青磁関連の逸品は億円は下らないものが多いです。この逸翁美術館の青磁瓶は何度も拝見していますが、見るたびに惚れ惚れします。本当に素晴らしい逸品だと思います。
※「青磁」「元」「花瓶」などと検索すると有名美術館の画像が出てきますので御参照ください。特に色味は東京国立博物館のものは超美品です。
▶「黒織部梅花文茶碗(江戸時代)」美濃地方の織部焼と志野焼は数ある国焼の二大巨頭です。骨董品の市場価値が下がっていく中、未だに、時代の織部焼・志野焼の逸品は数千万円は下りません。均整のとれた利休さんの時代の茶碗に対して、その弟子だった古田織部の茶碗は反抗的な沓形(ゆがみ)の茶碗をつくってしまいました。それが革新と評判になったんですね。「乙だねぇ」という言葉は、この歪みを表現している言葉だという説があります。本作品は、黒織部の特徴を十二分にふまえながら、素朴な絵付けで梅が描かれております。本当に、“乙”です。
今回も貴重な体験をさせて頂きました。本当にありがとうございました。
【時代の黒織部の参考品 ※出典は以下参照ください】
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