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【美術館の寄り道】【茶の湯の茶碗 in京都国立博物館】面白い「茶碗」の話 ①国宝茶碗と中国

2023年6月26日(月曜日)

京都国立博物館の茶の湯道具展に行ってきました!

素晴らしい美術展覧会ですので、ぜひ、ぜひ皆さま一度足を運んでその目で感じて下さいませ。

特集展示 茶の湯の道具 茶碗 – 京都国立博物館 (kyohaku.go.jp)

美術館で行われているその時々の展覧会から“寄り道的なお話”をするのが目的のこのブログ。行く前でも、行った後でも、行かなくても、少しはためになるような面白いお話させて頂いております。どうぞお気軽にご覧ください。

国宝茶碗8つのうち国産は2つだけ

今日は「国宝茶碗」についてお話してみましょう。

今回の展覧会でも国宝茶碗そのものではありませんが、8つの国宝茶碗のうち7つを感じることはできます。※国宝に指定されている茶碗そのものではなくても、類似した優品で重要文化財やそれに近いものですので感じられると表現しております。

現在、日本の国宝に指定されている茶碗は全部で8つあるんです。そのうち中国製の天目茶碗が5つ、朝鮮製の茶碗が1つ、純国産は2つです。

よくこの話のときには皆さんは意外がられることが多い。茶碗と聞くと、なんか、日本の美術品の代表選手の一つというイメージが強いようで、違和感があるんでしょうね。

 

お茶のルーツは中国にあり

やはりここは年代物茶碗は骨董品というカテゴリーでもあるわけで、そう考えますと、ルーツを探れば見えてきます。茶碗はすなわち茶を飲むための御わんであります。茶のルーツはどこかと申しますと、中国であります。中国の茶の歴史は古くは紀元前2700年に発見されたと言われておりますが、具体的な書物としては三国志で有名な三国時代よりと言われておりまして、遣唐使で有名な唐の時代(日本では奈良時代あたり)には貴族のもてなしとして実用的な儀礼として行われておりました。それが、次の宋の時代(日本では鎌倉時代あたり)になり、身分関係なく、一般の富裕層にも広がっていったと考えられております。このあたりで茶の生産や茶碗の生産は盛んになっていったわけですね。

 

本家中国にも存在しない日本の国宝茶碗

宋の時代に最も茶の生産が盛んだったのは、今の中国福建省(ウーロン茶でも今でも有名ですよね)のあたりに建窯という窯(かま)で茶碗をたくさん生産しておりました。土も非常に向いており風土も相まってしっかりとしたお茶碗が創られました。建窯というところで焼かれた茶碗のことを建盞と呼びまして、今回の展覧会で本物を見ることができます。むちゃくちゃ貴重です。ちなみに“盞”とは中国で茶碗のことをいいます。

この茶碗を日本の鎌倉時代の僧侶が持ち帰ったわけですが、この茶碗がつくられた良き土・風土の場所が天目山という場所でしたので、日本では天目と呼ばれるようになったというわけでございます。

中国 宋時代 天目茶碗

日本では鎌倉時代の次の室町時代から将軍による文化振興としての茶の湯が盛んになっていきます。最初は中国の茶を真似る形で貴族や大名のもてなしからはじまったわけでして、“唐物”と呼ばれた中国製の茶器が最も素晴らしいとされました。天目はその代表的な存在でありまして、唐物中の唐物ですね。また、日本の茶の湯の草創期にあたる茶器であり、また、本家の中国にも実はほとんど現存しないことから国宝に指定されているというわけですね。世界からも非常に注目されております。

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