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美術の余談 NO.6 「美術革命:ルネサンスとアールヌーヴォー」その2 ~西洋美術~

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2021年1月29日(金曜日)

前回のその1では、西洋の古代美術から中世の宗教美術、そしてルネサンスによる古代美術の復興の余談をしました。そこには、神と人間が時代ごとに交錯していた様子が分かったと思います。

つづく今回のその2では、近世から近・現代へ、新しい芸術=“アールヌーヴォー”についての余談です

革命が起きる時というのは、抑圧されたり、現状に満足できなかったりするから起きるのでありますが、このアールヌーヴォーはルネサンスに比べるとより緩やかな変化だったと思います。中世のように表現が抑圧され、時には死を下されたりする時代からの解放というほどではないということです。このアールヌーヴォーは、直訳で言いますと“新しい美術”になるわけですが、これまで西洋の価値観にない新しい価値観(日本などアジア、そして中東などの装飾)が吹き込まれたという意味では、大きな変化であります。

神と人を中心に描かれてきた西洋美術に持ち込まれた新しい価値観とは何か?? それは、“自然”であります。

これまでは背景や脇役に過ぎなかった植物などの自然が中心に描かれるようになったんですね。代表的な作者にはエミール・ガレ、ナンシー・ドーム、そしてアルフォンス・ミュシャなどがいますが、どれもこれまでとは違う作品となっています。

19世紀から20世紀初頭、産業革命以降の西洋では大量生産・大量消費の時代へと移り変わり、実用的で効率的なものが重宝され、価値観が画一的になってきた時代です。そんなどこか窮屈な時代に、自然への回帰をテーマにしたアールヌーヴォー作品は、たくさんの人々の心を潤したと思います。アールヌーヴォーには、日本の四季の風景や草花などが多く取り入れられ、ジャポネスクと親しまれ日本ブームも起きました。世界中の人々が“自然と調和がとれた日本文化”に興味をもったきっかけになったんですね。

このアールヌーヴォーを経て、神、人、自然という世界を構成する要素が全て揃ったことになります。また、国境を超えた本格的な融合芸術のはじまり。まさにグローバリズムであります。20世紀の天才・ピカソ。ピカソはアールヌーヴォーの融合芸術に多大なる影響を受けたと言います。ピカソは、原始アフリカ芸術を取り込み、絵画の革命的技法であるキュビズムを開発したと言われています。独創的な発想とは「0から生まれるわけではなく、何かと何かの融合による想像を超えた化学変化」と言えるかもしれません。

2回にわたって、ルネサンス、そしてアールヌーヴォーと余談してきましたが、西洋美術はこれからも世界の美術を大いに牽引していってくれることでしょう。

みなさんも機会があれば、それぞれの時代の作品に実際に接してみて、時代の変化をぜひ感じ取ってみてくださいね。

※エミールガレ作。動植物がモチーフ。(個人蔵)
※アルフォンス・ミュシャ作 花がモチーフ。
※日本原産の“スミレ”の花をモチーフにした作品。ナンシー・ドーム作。

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