店主ブログ

vol.27『古九谷 in大阪市立東洋陶磁美術館 』

東洋陶磁美術館。古九谷。藤美堂。
2021年10月25日(月曜日)

日本古陶磁の最高峰。

『古九谷  in大阪市立東洋陶磁美術館』に行って参りました。

東洋陶磁美術館。古九谷。藤美堂。

“古九谷(こくたに)”

数多ある日本の国焼の中で、最も有名なものの一つである九谷焼。中でも、“最も古い時代(1650年頃~1700頃)のもの”を“古九谷(こくたに)”と呼びます。

そのダイナミックな図柄と色使いは、今も昔も、たくさんの人々を魅了しています。

まずはご覧ください。

今回の展覧会で撮影OKだったものです。

■「色絵樹木文大皿(青手)」江戸時代17世紀※福井夫妻コレクション
■「色絵柳燕文皿」江戸時代17世紀※福井夫妻コレクション

東洋陶磁美術館さまはとても寛大ですね。最近は写真がほとんど撮影Okなんです。素晴らしい。

常設から企画まで、今回もじっくり堪能させて頂きました。感謝です。ありがとうございました。

古九谷は、日本の古陶磁の最高峰でありますが、日本人だけでなく、外国人にもとても人気なんです。

当店に来店された外国人の方々は、古九谷をご覧になった後に、こう仰いました。

「エキサイティング」

「インプレッシブ」

「パッショネイト」

“古九谷”の特徴をよく表していると思います。

江戸時代の大大名であった加賀前田藩の御庭焼き(御用窯)でありまして、とても力を入れてつくられたわけです。その当時は“徳川にもつくれないもの”として名を馳せました。

しかしながら、たった50年程で、突然、廃窯となりました。

「なぜ?」

日本の骨董について語られるときに出てくる大きな謎の一つです。

“突然消えた理由”、定説と新説。

『廃窯になった理由は何なのか?』

・原材料である陶石がなくなった

・藩の財政がひっ迫した

・中心人物である藩主が亡くなった

・伊万里焼との競争に敗れた

など色々な理由が語られてきましたが、どれが正解かは未だに不明です。

最近では、“隠れキリシタンのイコン(聖具)”であったのではないか?!という斬新な説があるようです。

それに関しては、私も書籍をはじめ色々と情報収集をしてみましたが、とても興味深かったです。確かに、古九谷の図柄の中に十字架を思わせるデザインがあることは間違いないですし、前田家は幕府から咎められていたキリシタン大名をかくまったりしていた過去がありますからね。新説としてはとてもインパクトがあって面白いなぁと個人的には思いました。

ダヴィンチコードならぬ「古九谷コード」⁈隠れキリシタンと古九谷の謎に迫る | 和樂web 日本文化の入り口マガジン (intojapanwaraku.com)

ただ、正直言うと、個人的には少し納得できないところ(例えば、古九谷によく使われている黄色は、キリスト教ではあまり好まれない色だったりするなど)がいくつかありました。そんな思いついたことを当店のお客さまとお話したりして楽しんでいました。

定説も新説も、謎多きものについて語り合うのが骨董好きにはたまらないひと時だったりするので、これまで以上に古九谷を楽しむことができるのは幸せなことだと思います。

400年受け継がれ、進化するKUTANI。

日本の古美術品の中でも、古九谷は非常に高値がつくものの代表格といえるでしょう。市場に流通しているものでも状態がよろしければ、小皿でも最低数万円以上はします。それが大皿で一点ものになってきたら、数百万円以上にはなるでしょう。そこに付加価値(由緒伝来など)がつけば千万単位になるものもあります。

江戸初期に誕生した日本の磁器の歴史は約400年程ですが、初期の伊万里焼、鍋島焼、古九谷は古美術ファンにとって垂涎の的です。古九谷はたった50年程で廃窯になったあと、100年後の江戸後期頃にもう一度焼かれはじめました。それは古九谷を再現したもので、“再興九谷”と呼ばれ、古九谷とは区別しています。区別はしていますが、再興九谷の人気も非常に高く、非常に高価な値打ち品が多数あります。それだけ古九谷の人気は、当時の江戸時代の人々にも絶大であったことが分かりますね。

古九谷をはじめ、日本の代表的な焼物として脈々と受け継がれてきた九谷焼。

今では、様々な個性的な作家さんが、色とりどりの九谷焼を製作していらっしゃいます。

色絵九谷の代表的な赤絵の線描画が見事な作家・福島武山が製作する九谷焼の数々は世界からも注目されています。

■「赤絵鳳凰文花瓶」福島豊山作※藤美堂所有

あのエルメスとコラボレーションした“腕時計”の製作など、活躍の幅を広げています。とっても素敵なので、ご存知ない方は一度ご覧になってみて下さい。

約400年の時を経て、世界の人々に評価されているのって本当に素敵ですね。

今後、ますます世界に“KUTANI”ファン、増えるかもしれませんね。

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